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思いやり 

後片付けをしながら、聞くともなしに聞いていると、寮母さんがなにやら叱りながら食事の介助をしている。

「ほら、はっきりものを言いなさい。ちゃんと言わんとあなたが何をいいたいか、わからないでしょ?」

「お口を大きく開けなさい」

「さあ、飲み込んで。飲み込まんと、次のが食べられないでしょ?」

「何が言いたいの?はっきり言いなさい、カヅ子さん!」

 
 ん? カヅ子さん? うちの母のことではないか?見てみると、母は寮母さんが入れたスプーンをかんで口を引き結んでいる。食べたくないとスプーンを噛む、と別の寮母さんが言っていた。

 最近の母は、言葉が出てこない。何か言おうとしているのだが、「とととと・・・・」とか「ぼぼぼぼ・・・・」とか1音しか出ず、ことばにはならない。聞いているこちらが察してあげて、「どうしたん?どこかへ行きたいん?どこか痛いん?」と声かけしてあげる。たとえそれが母の言いたいことではなかったとしても、会話になると信じている。

 母の状態をだれより一番知っていて、対処の方法も熟知しているはずの寮母さんの言葉とは思えなかった。

 いつも、寮母さんの名を呼び、「帰りたいよう」と言っているおばあさんがいる。ほとんどのお年寄りに帰宅願望がある。それを、だますというと言葉が悪いが、(あえてだますという)だますのは簡単だ。
「ほんと?帰りたいね?おうちの人に相談してみようね」といえば安心するものを、今日の寮母さんは、「帰りたいって言っても、あなたのおうちはもうないでしょ! どこへ帰るの?」それも声を荒げて言うのを聞いたことがある。
 
 
 ホームには70人ほどの利用者がいる。寮母さんの一挙手一投足をお年よりは見ているわけだ。明日はわが身、この人たちの世話なしでは生きられないと静観しているのだ、口に出さずとも。


 寮母さんによっては、母は完食する。母はもう赤ちゃんになっているのだ。
 もう少し思いやりをもって接してはいただけないものだろうか。


 
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《どうにかなる!》で いろんな坂道を歩いてきました
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